(仮称)朝日リゾートプロジェクトルポ一覧
・(仮称)朝日リゾートプロジェクトトップ
・【第一回】地鎮祭の基本から当日の流れ(式次第)まで
・【第二回】建築の流れと、基礎工事根伐り(ねぎり)・斫石敷込(さいせきしきこみ)の紹介
・【第三回】基礎配筋工事と安全パトロール!
・【第四回】基礎コンクリート打設作業
・【第五回】屋上のコンクリート打設作業と各階の様子
・【第六回】仕上げ工事その1 各部屋の作業状況と進捗状況
・【第七回】仕上げ工事その2 各部屋の作業状況
・最終回「お引き渡し前の検査」と「お引渡し内容と確認書類」の紹介
新築工事現場ルポ
最終回(仮称)朝日リゾートプロジェクト 「お引き渡し前の検査」と「お引渡し内容と確認書類」の紹介
今回は、10月9日、28日に現場に伺いました。10月9日は、工事がほぼ完了している状況で、各お部屋、共用部分の不具合箇所や傷のチェック作業が行われていました。
28日には、消防や行政の完了検査を終えた建物を、お客様へお引渡しする場面に立ち会わせて頂きました。
10月9日、建物はほぼ完成
地鎮祭から建物の建設作業を取材して11ヶ月余り、いよいよ完成なのかと思うと感慨深い気持ちになりました。 しかし建物が完成した後にはもっとも重要な検査が待っています。
建物を無事に建主様にお引き渡しをするまでには様々な検査をクリアしなければなりません。
今回は、まず工事完了後の検査について紹介したいと思います。
工事完了後の検査
現場に到着し、内部を見ていくと各階の共用部やお部屋の中に付箋が貼られチェックが入っていました。
この付箋は、室内の作業において傷がついてしまったり汚れてしまったりしている個所に付けられています(所謂 “ダメ”と言われている部分となります)。
これらの傷や汚れについては、様々な検査を行う過程で確認された不具合箇所と合わせて、最終検査である施主検査(建主様本人による検査)までに補修・調整がなされます。
工事完了後の検査は以下のようになります(順不動)。
1.電気・設備の機能自主検査
2.竣工社内検査
3.消防完了検査
4.建築主事又は指定確認検査機関の完了検査
5.設計事務所の竣工検査
6.施主(建主様)検査(最終検査)
各検査は、それぞれの見地から確認されることになり、傷や汚れ以外に建築基準法に適法なのか、設備や電気についてはきちんと機能し不具合がないかを細かい部分までチェックしていきます。
各検査の内容は以下の通りになります。
「電気・設備の機能自主検査」で稼働確認
まず、電気・設備系統のチェックは、器具を設置した専門の協力業者の手で行われ、その後に小原建設の担当者によってチェックが行われます。
電気の通電やエアコンの稼働、エレベーターや水回り、給湯器の稼働などすべて確認されます。勿論、ユニットバスのお湯張り試験も実施されます。
排水系統に至っては、汚水管も含め排水口から小さなボールを流し、建物の外部に流れ出るかを確認します。不具合がある場合は、直ちに修復・調整が行われます。
「竣工社内検査」では、電気・設備の機能検査も去ることながら、主に仕上げの状態をチェックします。
社内検査の主な確認項目は、
1.建築:専有部分・共用部分(建物すべてを通して)の汚れや傷の確認
2.建築:木製建具・金属製建具の開閉状態や不具合箇所の確認
3.建築:木製建具のレバーハンドルの状態確認や錠の確認
4.建築:外構の状況確認や植栽の確認
5.建築:地下ピットの状況や人通口の状況確認
6.電気:スイッチやコンセントの通電確認やプレートの状況確認
7.設備:流し台や洗面化粧台等の隠蔽される部分の状況確認 など
「消防の完了検査」は建築確認の完了検査と並んで重要な検査
消防署による検査は、消防法を根拠にした検査になります。
目的は、建物構造が法律的に問題ないか、さらに防火や防水の設備が適法に設置されているかを確認します。
消防署による検査は、消防署の検査員のほか、現場監督・設計者等が立ち合い、ひとつひとつ細かくチェックをしていきます。
検査項目は主に下記の5項目になります。
1. 消火器の設置
2. 誘導灯の設置
3. 天井の煙・熱感知器
4. 音響装置(非常ベル)
5. 避難器具
煙・熱感知器は、実際に「加熱試験機」という道具を使って正常に作動するかを確かめます。また、音響装置(非常ベル)は、実際に音を鳴らして確認します。
各階の非常灯が設置点灯しているか、ベランダでは下層階に移動する非難梯子が適切に作動するかなどが確認します。
「建築主事又は指定確認検査機関」の完了検査
建築主事又は指定確認検査機関の完了検査は、工事完了後に確認申請を受けた図面通りに建物が施工されているかを検査するもので、建築基準法の基準に適合していることが確認されたら「検査済証」が交付されます。
なお、検査済証が交付されるまでは原則的には建物を使用することはできません。
蛇足になりますが、各証明書は、再発行はされませんので紛失に注意しましょう。
これらの証明書や検査済証は建物建築費用のローン申請や建物を売却するときの証明、リフォーム時などに必要になる場合がありますので大切に保管しましょう。
「設計事務所の竣工検査」
概ね2班に分かれて検査を実施します。
1班は共用部分、そしてもう1班は専有部分を検査します。
どちらも設計図通りに建物が建てられているかどうか、設計図を基に確認が行われます。不具合がある場合は調整が行われます。勿論、傷や汚れのチェックも行います。
これまでにも色々な検査は有りましたが、より多くの目で確認し、見落としが無いようにします。
「施主(建主様)検査」
最終検査になります。これは、施主(建主様)ご本人による検査になります。設計図通りになっているのか、傷や汚れ、不具合は無いか等ひとつひとつ確認をしていきます。
施主検査時までにすべての不具合を調整し、完璧に仕上げておく形になりますが、万が一、間に合わない場合にはお引渡しまでに調整することになります。これらすべての検査・確認が完了したのちにお引き渡しになります。
10月9日(仮称)朝日リゾートプロジェクト 各部屋の様子
建物のお引渡しの全容
10月28日には、建物の検査をすべて完了し、無事に「お引渡し」の日を迎えました。
お引渡しに要する時間は概ね1時間程度。どのようなことをしたのか紹介します。
お引渡しをする建物の正式名称は「朝日リゾート」となり、正式な住居表示も頂きました。
工事期間中の仮称名称が無くなり、少し寂しい気持ちにもなりました。
お引き渡しは、1階のお部屋で行われました。
お引き渡しには、施主(建主様)は勿論、現場監督、設計者、小原建設の社長や工事部長、この建物を管理する不動産業者の方々が出席され、和やかの中にも緊張感を持った雰囲気の中で開始されました。
冒頭、進行役である小原建設の営業の方から、今日の取材及び撮影の趣旨を説明し、ご了解を頂きお引渡しが始められました。
書類の確認に先立ち、現場監督から各検査の状況の報告、手直し等が全て完了し未成工事は無い旨の報告がなされました。
引渡しは「朝日リゾート竣工引渡書類確認書」に基づく確認から開始
まず、小原建設より、「竣工引渡書類確認書」(所謂 目次)17項目の説明を行い、署名捺印が必要な書類については、説明後まとめて押印を頂くことにしました。
17項目の他に欄外には、「朝日リゾート」建物の表示登記申請の際に使用した書面の内容が記載されていました。また使用した書面のコピーも用意されていました。
確認内容
それぞれ確認する内容は以下の内容になります。
1. 竣工引渡書類確認書
目次の要素を持った書面で、引渡し書類一式(クリアファイル綴り)の中身を表しています。 この書面は小原建設から施主(建主様)に提出する書面となり、既に会社の印鑑が押されていました。
2. 竣工引渡書類引受書
上記の書面と中身は同じになります。この書面は2枚用意されます。1枚は施主(建主様)がチェックして、小原建設に返却する形となります。勿論、施主(建主様)の押印を頂く書面となります。
そしてもう1枚はクリアファイルの中に綴じられます。
お互いに内容を確認し、押印してお互いが持ち合うものとします。
3. 建物引渡証
建物本体の引渡し書面となります。
書面には建物の住所、構造や階数、延べ面積等が記載されていました。どんな建物を引き渡したのか、概要が書かれた書面となります。
4. 建物引受証
建物本体を確かに引き受けましたと言う書面になります。
建物を引き渡す側と引き受ける側、それぞれが確認して押印し、お互いに移管される書面となります。双方が確認し、押印をした後に保管することになります。
5. 鍵引渡証
鍵の引渡しは建物引渡しの最大の要件の一つに挙げられています。鍵の番号は現場で何回も確認され、後記の鍵番号一覧表に表記されます。
6. 鍵引受証
後記の鍵番号一覧表を確認した後、本日確かに鍵を引き受けましたと言う書面になります。
鍵の引渡しと引き受けの証明書になります。
7. 鍵番号一覧表
現場で最も重要になるのが鍵の扱いです。
錠が設置されている場所ごとに、鍵のメーカー名と鍵の番号が記載されていました。現場ではお引き渡し当日の朝一番で工事期間中に使用して来た工事用の鍵からお渡しする鍵への変更作業を行います。
一度、工事用の鍵を錠前に指して開錠した後に、お引き渡しをする鍵で施錠すると工事用の鍵は使えなくなるとのことでした。これはとても不思議な現象です。お部屋ごとに用意された鍵は6本でした。
最近ではカード式の鍵や非接触型の鍵も見かけるようになったとのお話でした。
すべてのカギの番号合わせ(確認)をするために利用します。
勿論、この用紙も2枚用意されていて、お互いに一部ずつ持ち合う形となります。
8. メールボックス鍵番号表
最近の賃貸マンションでは主流の宅配ボックス付きのメールボックスの鍵番号表になります。最近のメールボックスは薄型でダイヤル式のものが主流だそうです。
メールボックスのカギの番号表です。鍵の開け方も書かれています。メールボックスが薄型のため、大きな郵便物は宅配ロッカーを利用します。
9. 保証書
アフターサービスの期間や適用する内容と適用外のルールが記載されています。
建物全体の保証書の内容は多岐にわたるため、小原建設では「中高層住宅アフターサービス基準」を基にした内容の書面としています。内容としては、建築の欄では「共用部分の長期保証部分」と「短期保証部分」に分割され、「専有部分では短期保証部分」が記載されていました。
電気設備工事や機械設備工事の保証内容も記載されていました。保証書に関するものは他にも様々なものがありました。一例としては防水工事の保証書、キッチンや洗面化粧台、トイレの保証書に至るまで本当に多岐にわたって各メーカーから保証書がきちんと発行されるものだと驚きました。
10. 関連業者一覧表
『朝日リゾート』を建設した業者の一覧表です。
職種から業者名、担当者の名前まで書かれていました。鳶工事から始まって鉄筋工事・型枠工事・内装工事・電気工事・設備工事など色々な業種の職人さんの手によって建築されたことが分かります。
11. 使用材料及びメーカーリスト
この建物の何処の部分にどのような材料を用いたかが詳細に書かれています。この建物の居室の床材はお部屋によって材料が異なるため分割されてまとめられていました。この書面は、建築・電気設備・機械設備と分割されて書かれていました。
12.緊急連絡先一覧表
建物の不具合が生じたときに『何処に連絡して良いのか?』迷うことがあります。
この様な場合に備えて、建築工事・電気設備・設備工事の会社名と現場担当者の方の連絡先まで記載した書面を提出します。
最近では、建物を一括で管理会社に委託するケースが増えています。これは緊急事態が発生した場合でも24時間対応のサービスを利用する入居者が増えていることの表れでしょう。
13. 備品リスト
お引き渡しをする建物によって、備品の種類が異なります。この建物の場合では、地下ピットへ降りる為の点検口(蓋)を開ける金物が備品として記載されていました。
14.予備品リスト
備品リストと類似していますが、予備品として残しておく材料が記載されています。
この建物のお部屋の床材はタイプ別に材質が異なり、また無垢材を使用しているため、多少の材料が予備品として残されていました。
15. 竣工写真
建物が完成した時点でプロのカメラマンによって撮影されます。
建物の外観は勿論、エントランスやお部屋の内部、各種設備機器を一冊のアルバム(冊子)に収めてお渡しします。竣工写真のお渡しは建物お引き渡し後、約一ヶ月程度後になります。
16. 竣工図
当初の計画図面に基づいて工事は進められますが、現場では様々な検討事項や打合せによって、当初の計画図面の通りにならない部分が生じます。
これは、より良い建物、より良い使い勝手を検討し、打合せを重ねた結果から成るもので、竣工図には隠蔽された部分等実際の建物が図面として反映されています。
大規模な改修工事、間取りの変更等を行う場合には、この竣工図を用いて計画を練ることになります。大きさはA3版(見開きA2版)となり、厚さは3.5cmにもなります。
17. 取引説明書
機器の取扱説明書は多岐にわたる為、先ず専有部分のものと共用部分のものに分割します。
共用部分の機器の取り扱い説明書は、一冊のファイルに綴じ込みます。管理会社がいる場合には管理会社に引き継がれます。
また、専有部分の取り扱い説明書は、お部屋ごとにファイルに仕分けられて各お部屋に備えられます。
その他の書類
・工事完了引渡証明書(写し)
・印鑑証明書(写し)
・代表者事項証明書(写し)
これらの書類は建物の完成に合わせて行われる「表示登記」に用いられる書類になります。添付されていた書面は全てコピーされたものでした。
「表示登記」の申請は、通常の場合、土地家屋調査士に委任します。委任する場合には上記の書類と建築確認申請を用意する必要があります。「表示登記」に基づいて、最終的には「保存登記」が行われることになります。
竣工引渡書類や各種保証書
引渡しの書類確認と同時に行われるのが建設費用の振込確認
新築工事や改修工事を行う場合、工事会社と「工事請負契約」を締結しますが、工事代金の支払い方法も建主様と工事会社の打合せによって決められます。 ですから、工事代金の支払い方法も物件によってまちまちとなります。お引渡し当日に「工事請負契約」によって定められた残代金の入金を確認して、お引き渡しが完了となります。
残代金をご入金頂けない場合には、お引渡しができなくなってしまいます。昨今は携帯電話の普及で入金確認の連絡も容易になりましたが、以前は銀行の払い出し用紙のコピーを頂き、その用紙を確認してからお引き渡しを行った時代もありました。
最後に設計事務所からの書類等確認
新築計画に伴う設計者の役割は、先ずは与えられた土地にどのような建物が出来るのか、全体のボリューム設計から始まり、建主様と何度も打合せをして基本設計を立案します。
建主様との間で基本設計の合意がなされたら実施設計に移行します。
この段階で、設計者は行政との打合せも並行して行い、実施設計の過程で図面に反映させていきます。
実施設計の進捗に合わせて、近隣住民への説明会を開催し、建築確認の申請を行います。
確認申請が無事に認可されて設計者の一つの役割が完了します。
設計者の次の役割は、工事期間中の設計監理業務になります。
設計監理業務は、建主様に替わって建築会社と交渉をしたり、建築中の建物の要所の検査を行ったりと多岐にわたります。
設計者の設計監理業務も建物のお引き渡しと同時に完了することになります。
この様な一貫性の業務が完了したのですから、設計者からの引渡し書類も大量になるのも頷けます。
確認申請図面や構造計算書、行政との打合せ内容~計画変更が行われた図面、自治体や消防署などが行った検査に関する申請書や検査済証・・・、ひとつひとつ説明し確認を頂きながら進めていたのが印象的でした。
ひとつの例として、説明されていた内容は、確認申請書・確認済証、軽微な変更届、エレベーターの検査済証と建物の検査済証、補助金に関する説明 など・・・
今日の引渡しまでに間に合わなかった書類など、送付される時期等についての説明もありました。
この他、ひとつ驚いたこととしては、地盤調査結果の報告書と地質サンプルをまとめた資料を建主様にお渡し説明されていることでした。
建物を建てると言う点で考えると、土地は元々建主が用意したものなので、その地質や状況について検査して、かつサンプルを採取して検査後に報告書と一緒にまとめて頂けるなんて思ってもみませんでした。
他の建設会社でも一般的なものとして、慣習化されているのかもしれませんが、ビルや大きなマンションを建てる機会でも無いと、このようなところまで知ることが出来なかったと思いますので良い経験をさせて頂きました。
動画で見る「お引き渡し前の検査」
動画で見る「お引渡し内容と確認書類」
いかがでしたでしょうか。
ひとつの新築工事を地鎮祭からお引き渡しまでを追ってまいりました。
建物が完成する際に行われる検査、そして引渡しでは鍵を渡すだけではなく、たくさんの書類の説明と確認があり、さらに地質サンプルの解説まですると言うことに驚きました。
「朝日リゾート」のルポを通して、小原建設の建物を創るという仕事の細かい部分を発信できたのではないかと思います。
建物を建てることに真剣に向き合い、細かな部分にできる限り配慮して仕事を進めていることに驚きと感動しました。
ぜひ、新築・リフォームでのお悩みは、お気軽にご相談ください!
新築・リフォームでのお悩みは、お気軽にご相談ください!
『小原建設』では、お客様に対して責任を持ち、快適な生活を送って頂けるように、営業担当者・設計担当者・工事担当者がチームとなって、お客様をサポート致します。
新築・リフォームを問わず、ご気軽にお声掛けください。
取材・文章原案:ウェブ制作事所M’s Create 文責・監修:株式会社 小原建設