リファイニング・カーボンニュートラル・耐震物件現場ルポ
早稲田KMビルリファイニング工事現場ルポ
第1回:(仮称)早稲田ビルに採用されたリファイニング建築(再生建築)を採用をした理由と小原建設の仕事について
今回は、2022年2月に竣工した(仮称)早稲田ビル(早稲田KMビル)について紹介いたします。
今回、株式会社小原建設は、新しい取り組みとして今までに採用したことがない、リファイニング建築(再生建築)を採用し、マンションの建築を行いました。
今回は、リファイニング建築とはいったいどんな建築方法かお知らせしたいと思います。
「リファイニング建築」は株式会社青木茂建築工房の代表青木茂氏が1999年に提唱した新しい建築方法です。
リファイニング建築(商標登録第4981412号)は、リフォームやリノベーションとは異なり既存建物の耐震性能を建物の軽量化や耐震補強によって現行法で求められるレベルに向上させるとともに、既存構造躯体の約80%を再利用しながら、建て替えの約60~70%のコストで、大胆なデザインの転換や用途変更、設備一新を行う手法です。建物の再生・長寿命化を図ることで、持続可能な建築・都市の構築を目指しています。
また、古い建物の場合、
建ぺい率や融資の問題など、環境や法律的な問題であきらめなければいけない点もクリアーできる部分があるのも特徴で、注目や関心を持たれています。
なぜ、リファイニング建築を採用したのか。
新築すると現在の大きさの建物を立てることができなかった
旧洛陽ビル(早稲田KMビル)は、約半世紀まえの1973年3月に竣工しました。地上8階建て、延べ面積は、1,216.23m2の大きな建物でした。しかし、この敷地で新築すると容積は減ってしまい、さらに斜線で切り取られてしまいます。つまり、建物の大きさが減少してしまうことで、部屋数が減少し全体の家賃収入も大幅に減ってしまうのです。それでは、返済に関しても大きな負担になってしまいます。
リファイニング建築と建て替えの面積比較図
竣工から30年以上たっている物件は、基本的に銀行からの融資がおりない。
また、旧洛陽ビルは、竣工から46年経過し、リフォーム・リノベーションでは銀行からの融資が受けられませんでした。 しかし、このような問題に対し、リファイニング建築を行う事で、「検査済証」「耐震評定」「修繕家歴書」を取得する事ができ、資金面でも下支えをすることが可能になりました。
その他様々な諸問題を検討し、リファイニング建築を採用することになりました。
リファイニング建築の特徴とメリット
新築よりも工期短縮とコスト削減ができる
早稲田KMビルの場合、新築にすると18か月、リファイニング建築の場合は10カ月。8カ月の短縮が可能になりました。また、建築のコストについては、新築にくらべて、予算を軽減することができました。早稲田MKビルの場合、75~85%となりましたが、理想的な数値としては60~70%くらいを見込んでいます。
既存建物が立った時の建築基準法をそのまま使える箇所がある
増築をしないという制限はあるものの、既存建物が立った時の建築基準法が使える部分があるので状況に応じて検討がすることが可能です。また、そのような中でも、間取り・用途変更が可能になるため新築に近い建物を建てることができるのも大きなメリットではないでしょうか。
【その他の特徴とメリット】
その他の特徴とメリットは以下の通りです。
1.新たな確認済証・検査済証の取得。
2.耐震補強により現行法規及び耐震改修促進法に適合させ、震診断評定の取得。
3.耐用年数評価書・耐震基準(耐震診断評定書)・検査済証で銀行融資可能
4.家歴書の作成(補修箇所・補修方法)の制作
5.廃材を減らしカーボンニュートラルへの貢献(当物件で概算65~70%のCO2削減)
お客さんのサポートにも力を入れました。
小原建設では、まず、新築・再生建築・リフォーム等の作り方に関する内容と、敷地・既存建物を吟味しました。その中で、お客様にとって何がベストなのかをワンストップかつ総合的に検討した結果を青木茂建築工房様にご提案しました。また、小原建設では、リファイニング建築を採用するにあたり、お客様にリファイニング建築に関する相談や疑問点をお聞きし、青木茂建築工房様との会議でも分かりやすくお伝えするなど、スムースに建築作業が進められるように、ディレクションにも力を入れました。
お客様・青木茂建築工房とご一緒にお打合せをし、作業をする流れ
作業の流れは、構想段階から数多くの検討を重ね、建設の工事管理までを担当しました。
※検査済証の申請・検査は監理設計(青木事務所)、建物の補修(家歴書)は施主発注の工事で当社ではありません。
1.簡易構想 → 2.構想提案 → 3.基本設計 → 4.工事管理 → 5.実施設計 → 6.小原建設と工事請負契約 → 7.着工:安全祈願祭・各工事着手前申請手続き → 8.竣工:新築と同等な各種竣工検査 → 9.引渡
検査の内容
早稲田KMビル竣工までに7重もの検査を行いました。
1.小原建設社内検査
2.機能検査
3.管理会社検査
4.青木茂建築工房検査
5.消防検査
6.審査機関検査
7.施主検査
いかがでしたでしょうか。リファイニング建築では、特に竣工から30年以上の建物をお持ちの方はぜひご注目いただけたらと思います。全体のコストが軽減できること、一部過去の建築基準法の適用が可能であること、融資を得られること、建物のサイズがほとんど変わらないで建築が可能なこと。様々なメリットがある事を紹介できたと思います。
ご不安なことはお気軽にご相談ください!
『小原建設』では、お客様に対して責任を持ち、快適な生活を送って頂けるように、
営業担当者・設計担当者・工事担当者がチームとなって、お客様をサポート致します。
新築・リフォームを問わず、ご不安があれば、ご気軽にお声掛けください。